1.序文




  太古の教義に示された全ての神聖で神秘な寓意のとばりの
  背後には、いつの時代にも変わることなく、またいつの時代にも
  注意ぶかく隠されてきた、ひとつの教義が見てとれる。
  神秘哲学(オカルト・フィロソフィ)は、あらゆる知識欲の源であり
  母胎であり、それが王や聖職者にだけ伝授されていた
  時代にあっては、まさに絶対主権を有する女王であった。
      (『高等魔術の教理と祭儀』 エリファスレヴィ)



 さて、なんでも規則正しくきれいに並べることはとても重要なことです。カバラ、とりわけ生命の樹は整理棚やコンピューターにたとえられます。私の解釈では、カバラという体系は人生そのものを整理する体系だと思います。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10と規則正しく並ぶ美しい数たち。本田健の著書『ユダヤ人大富豪家の教え』によれば、幸せなお金持ちはみんな家がきれいに片付いているそうです。そして、家だけでなく人生や彼らのまわりのシステムまでもがスッキリしている。彼ら、お金持ちのユダヤ人たちの生活がきっちり整理整頓されているのは、彼らがユダヤの教理であるカバラーを知っていたことと、関係があるのかもしれません。

 私は今日誕生日を迎えたばかりの20歳の短大生で、カバラはまともに勉強を始めて4年ほどです。初めて生命の樹という図版に触れたのは中学のとき。エヴァンゲリオンというアニメ作品のオープニングでした。初めてその図をみたときから、私はこの図のとりこになりました。「ここにはなにかある!」そう確信していました。数年後、鏡リュウジのタロットの本の中でこの図(右図)をみつけたときはおどろきました。だって、自分がいつもながめていた22枚のタロットが、図形と関係していたんですもの。

 それから、高校に入り22枚の1JJタロットカードで友達や先輩を占っていた私が、上記のタロット本と同じ場所で見つけたのが、魔女の家BOOKSから出版されていたトートのタロットでした。最初は72枚すべての意味を記憶するのに手惑いましたが、カードに直接意味をすべて書き込んでしまうことで解決しました。これで、アレクサンドリア木星王の名前が入った緑の小冊子を持ち運ぶ必要はなくなりました。

 初めて図書館で取り寄せてもらったトートのタロットの解説書、『トートの書』はとても読みづらいものでした。クロウリーはやはりものすごい狂人で、頭が狂っていてこんな意味不明な文章を書いたのだとしか思えませんでした。そんな『トートの書』も、今では『Book of Thoth』とつきあわせて、ちょくちょく誤訳を発見できるまでに理解できるようになりました。

 そして、案の定自分の思想はクロウリーに系統していきます。学校の勉強はまったくしないで、意味もわからず『777の書』や『魔術―理論と実践』を読みあさっていました。『法の書』にいたっては、最初の1ページを丸暗記して暗唱するほどでした。「Do what thou wilt shall be the whole of the law !」(汝の意思するところを行なえ、それこそ法のすべてとならん)とは、当時の私の代名詞でした。もちろん、その言葉の解釈を間違えていたために、先輩の進路は勝手に占いで決めるわ、学校の神格に接触するわで学校から目をつけられ、二見書房から出ていたソロモン王の鍵でアンドロマリウスを呼び出し、大事になってしまうのですが・・・。

 高校のころ、世界史を生命の樹に照応させて暗記しようとためしました。まぁまぁ普通の丸暗記程度には役にたったのですが、当時の自分の樹に対する知識は、パスとカードの照応、それに各セフィラヘブライ語の意味とケセドが青などの色だけだったため、普通の関連付けの記憶程度にしか役に立ちませんでした。渡辺式記憶時術を受講しおえてから、もう4年もたっていたのに。知識が少ないために本当は照応が間違っているのではないかと葛藤していたことも途中で記憶に挫折した大きな原因でした。

 アンドロマリウスのおかげなのか、学校から開放された私には、本を読む時間がたっぷりありました。細木数子の本はできるだけ読み、大殺界を恐れました。このとき、自分にとって一番幸運だったのは、占星術を学習できたことでしょう。鏡リュウジの『魂(プシュケー)の占星術』に始まり、StarGazerも入手しました。占星術を学習して、カバラについて少し近づけたように思いました。ネットで神秘家の方とも交流するようになり、高校も1年分の単位を1年で取得し卒業しました。すでに大学受験どころではなくなっていたため、カードで占い縁のあった大学に入りました。ワンド(棒)の4。この大学で2年間ゆっくり休もう。場合によっては1年か2年で東大を目指せば良いとあさはかに考えていました。

 大学に入り、駅近くのフレンドリーなカフェのオーナーと仲良くなった私は、そこで毎日占いの腕を磨きました。たくさんのお客さんを無料でみさせていただいたことで、知り合いは一揆に増え、占星術に確信をもてるようになりました。毎日新しい人と親密なり、かわいがってもらえる自分に第二次黄金期を実感しました。クロウリーとトートに、ものすごく感謝しました。しかし、占星術という統計的な占いを主に使うようになったために、インスピレーションは高校のころのようには働きませんでした。お店のお客さんやオーナーにはそれまでの自分に欠けていたいろいろな重要なことを教えていただきました。

 さて、話はもどりますが、あらゆる体系が自分の中でスッキリ整理されているということは、とても大切なことです。掃除、洗濯、整理整頓はとても大切です。カバラは数によってなりたっています。基本の1,2,3,4,5,6,7,8,9,10という数の新しい使い方を発見できるでしょう。
たとえば、このHP自体が数によって整理されていることにお気付きですか?




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R.生命の樹/カバラ入門 20060804